在学生の声 ~電力制御の研究をしている4年生にインタビューしました!~
地球温暖化を解決するためには電気エネルギーの有効利用が重要ですが、太陽電池や電気自動車のバッテリーを電力系統に接続するためには、「電力をスマートに制御する技術」が重要となります。今回は、電力系統の制御を始めとして、様々なシステム制御の技術を研究している小島・阿久津研究室の4年生の小林君に、電力制御に関する研究の魅力について教えてもらいました!
(写真)小島・阿久津研の皆さん。右から2人目がインタビューを受けていただいた小林君。
小林君は3年生の研究室選択のときに、なぜ制御工学の研究室に入りたいと思ったのですか?
入学したときは、半導体などの最先端の技術を研究したいと思っていたのですが、小島先生の制御工学の授業を聞いて、数式を駆使してシステムを自在に制御するというのが面白いなと思ったのがきっかけです。制御工学というのは、制御理論に基づいてロボットや電力システムなどを自在にコントロールする学問です。制御工学というのは高校では全く出てこず、大学に入ってから初めて習うものなのですが、こんな学問があるんだ!と思い、もっと深く研究したいと思いました。
研究室では、どのような研究をしているのですか?
簡単に言うと、「電力の価格で電力の流れを制御する」という研究をしています。最近、太陽電池や電気自動車のバッテリーを電力系統につないで、「分散電源」として使うということが一般的になってきました。しかし、「分散電源」にはたくさんの種類があり、その数も非常に多くあります。太陽電池は気象条件によって発電出力が変動しますし、電気自動車も常に自宅にあるわけではありません。なので、このような分散電源が増えると、系統が不安定化します。そこで、私たちは、「電力の価格」を時間ごとに変化させることで、適切な電力の流れを実現するシステムを研究しています。このような時間変動型の「電力の価格」を用いることで、多種多数の分散電源が自律的に動作しながらでも適切な状態を実現するというアイディアは、他にはないオリジナルな観点です。
(写真)小林君と阿久津先生のミーティングの様子。制御システムの構築に必要な数式について議論しています。
研究は具体的にはどのように進めるのですか?
MATLABという数値計算ソフトを用いて、コンピュータ上で電力の流れをシミュレーションします。まずは、電力の価格や電力の流れを数式で表し、それをMATLAB上で計算できるようなプログラムを作ります。それを実行し、思ったような結果が得られるかどうかを確認します。
(写真)MATLABでのプログラミングコード作成。友人と教えあいながら研究を進めます。
企業経験もある阿久津先生とマンツーマンでのミーティングをしていただきながら、試行錯誤を繰り返して、研究を進めています。電気電子工学科の特長として、少人数教育を実践しているので、先生から色々と教えてもらいながら、実践的な知識を得ることができます。
将来はどのような仕事をしていきたいですか?
電力関連の大手企業から内定をいただいています。将来は、電柱の設置計画の作成や保守作業を行ったり、災害が起こった際の復旧の計画を立てたりするような仕事をしていきたいと思っています。電力は私たちの生活に必要不可欠なライフラインであり、ひとたび停電が起こると社会に及ぼし日常生活を送ることが困難になります。大学で学んできた、電気回路や制御工学の知識を活かして、電力の安定供給を担う使命を果たしていきたいと思います。
就職活動を成功させるには、どうすれば良いと思いますか?
注目している企業の説明会や夏・冬のインターンシップに数多く参加することがとても大切だと思います。説明会やインターンシップに参加し、企業・業界のリアルを見ることで、本当に自分がやりたい業種・仕事なのかを判断することができます。また、大学のキャリアセンターにてアドバイスをいただくことも大切です。キャリアセンターではエントリーシートの添削・面接対策・就職活動に関する相談など、就職活動中の様々なことをサポートしていただけます。特にエントリーシート作成のための自己分析は大変なので、時間をかけて行うことがとても大切です。
就職活動は今後の人生を決める大切なイベントです。良い企業に行けるよう頑張ってください。
最後に、進路を検討している高校生へアドバイスをお願いします!
電気電子を一言で表すと、「安泰」です。電気電子工学というのは、流行に左右されず、基本的な部分はずっと変わらないので、今勉強したことが10年後、20年後にも役立ちます。電気の知識は様々な分野と関係性があるため、どんなところにでも行くことができ、勉強して損はないです。電気を学んでいれば、この先ずっと大丈夫なので、ぜひ興味を持っていただきたいなと思います!
(写真)姫路での学会に参加した際の研究室メンバーとの集合写真
インタビューへのご協力、ありがとうございました!
小島・阿久津研究室について詳しく知りたい方は、システム制御研究室のホームページをご覧ください。