在学生の声 ~光に関する研究をしている大学院生にインタビューしました!~
電気電子工学科には、「光」に関する学問分野「フォトニクス」に関連した研究室があり、光に関連した技術も学ぶことができます。スマートフォンや通信機器には、レーザやLED、光ファイバ、光センサなどが多く使われているので、電子工学とフォトニクスは密接に関係しています。今回は、光に関する研究している大寺研究室の大学院生の脇谷君に、光の研究とはどのようなものなのかを教えてもらいました!
(写真)インタビューに答えていただいた、大寺研究室 大学院生の脇谷君
脇谷君はなぜ光の研究をしたいと思ったのですか?
電気電子工学科に入ったのは、電気や電子に関する色々なものが学べて、就職に強いからという理由です。入学時はこの程度のことぐらいしか考えておらず、光についても最初から研究したいと思っていたわけではなかったのですが、2年生のときに「光波工学」という講義を受けて、光の技術というものに興味を持ちました。電気電子工学科では、電気・電子と密接に関連した「光」に関する技術も勉強することができるようになっています。
光の研究をしようと思った一番の決め手は、2015年のノーベル物理学賞を梶田隆章氏が取られたことに感銘を受けたことが大きいです。岐阜県の神岡鉱山にあるスーパーカミオカンデという施設において、ニュートリノ振動という現象が発見されました。そこで重要な役割を果たしたのが、光電子増倍管と呼ばれる超高感度の光センサです。このように、光は最先端技術のさまざまな分野で重要な役割を果たしていることを知り、「自分も光に関する研究者の一員として活躍していきたい」と思ったのがきっかけです。
具体的には、どのような研究をしているのですか?
「マルチスペクトルカメラ」という、複数の分光情報を取得できる特殊なカメラを使って、カメラのセンサに到来した光の情報から光のスペクトルを推定したり、画像化を行なったりしています。このマルチスペクトルカメラは、市販されている物ではないので、使用用途に合わせて自分たちで作製します。そのカメラに光を照射して、撮影した光の情報からスペクトルを推定します。
(写真)マルチスペクトルカメラを用いた実験系。カメラに向けて光を照射し、それを取得する実験系を手作りで構築しています。
スペクトルの推定には、解析プログラムが必要で、それは自分で作っています。実際に推定した結果を、正解の値(真値)と比較して、試作したマルチスペクトルカメラの性能評価を行います。
(写真)研究室でデータ解析をしている様子。電気電子でもプログラミングをバリバリします。
私の研究は、今後より広い帯域を検知したり、高感度に反応したりするような高性能なカメラの開発に繋がっていくことが期待できます。マルチスペクトルカメラは、人間の目では見えない情報を視覚化することができます。例えば、リンゴなど果物の中身を壊すことなく、甘さや異物が混入していないかといったことを評価することができます。
研究について疑問に思ったことがあると、大寺先生と1対1での議論をしていただいています。少人数教育で、一流の研究者の先生と議論ができるのは、本学の良い点だと思います。
(写真)大寺先生と議論をしている様子。ホワイトボードを使って、先生との議論をいつもしています。
得られた研究成果は、学会で発表することによって、他大学や企業の研究者に周知します。これまでに7件学会発表をしており、受賞も2件しているなど、学外からも高い評価をいただいています。原著論文の掲載も決まっており、学外の研究者が自分の成果を参考に、さらなる研究に役立ててもらえると嬉しく思います。
将来はどのような仕事をしていきたいと考えていますか?
光学関連の大手企業に就職して、光学製品の開発に携わっていきたいと考えています。カメラやセンサ、フィルタなど、光学製品には様々なものがありますが、近代技術を活かしたより高性能なものを開発していきたいと考えています。
最後に、進路を検討している高校生向けにメッセージをお願いします!
今、電気電子を検討されている高校生の方は、具体的にこういう職に就きたいというのは決まっていないのではないかと思います。ですが、4年間の大学生活を通じて、色々な方向から将来を見据えて勉強できるのが電気電子のいい所です。私も電気電子は就職が強いので、とりあえず入ってみようと思って入った結果、「光」という自分が本当にやりたい分野にめぐり会うことができました。入ってみてから方向性を決めていけば良いと思いますので、ぜひ電気電子に入ってきてください!
インタビューにご協力いただき、ありがとうございました!
フォトニクスの研究に興味がある方は、大寺・高屋研究室のホームページをご覧ください。