在学生インタビュー ~次世代のパワー半導体を開発し、地球環境に貢献する~

在学生の声

今回は、大手半導体装置メーカーへの就職が決まった、パワーエレクトロニクス研究室4年の沢谷君に次世代パワー半導体の研究について伺いました。大学での研究内容や、なぜこの大学・学科を選んだのか、そして将来の夢について語ってもらいました!

パワーエレクトロニクス研究室で、どのような研究をされていますか?

SiC(シリコンカーバイド)という次世代の半導体材料を使って、「MOSデバイス」という半導体部品の試作をしています。SiCは、少ない電力損失で大きな電力を扱える「パワー半導体デバイス」として期待されており、電気自動車(EV)や再生可能エネルギーの分野で重要な役割を果たします。例えば、皆さんもよく知っているハイブリッド自動車(HEV)には、写真のような「インバータ」という装置が搭載されています。この中でパワー半導体デバイスが、モーターを力強く動かすための電力を供給しているのです。

(写真)ハイブリッド自動車のインバータ装置

パワーエレクトロニクス研究室では、このパワー半導体デバイスの性能を飛躍的に向上させるために、フッ素を用いた独自の製造手法に取り組んでいます。この研究を一言でいうと、『世界でも誰も試みていない、新しい半導体製造技術の開発』に挑戦しているということです。この研究が成功すれば、より省エネルギーで高性能な半導体を作れるようになり、地球温暖化の原因となるCO<sub>2</sub>の排出削減に貢献できると考えています。

(写真)フッ素を導入するための半導体製造用の装置

なぜ電気電子工学、特に半導体の分野に興味を持ったのですか?

もともと高校の物理で学んだ電気回路が好きで、「電気」という分野は社会から絶対になくならないだろうと思い、電気電子の道を選びました。

大学で学ぶうちに様々な分野に触れる機会があり、特に「半導体業界」が世界的に大きく成長していることを知って、その将来性に強く惹かれました。半導体は、現在日本で最も投資が盛んな分野の一つで、世の中を動かす中心的な技術だと感じたのが、この研究室を選んだきっかけです。

富山県立大学を選んだ理由を教えてください。

県内の国公立2択で迷いましたが、富山県立大学は工学部・情報工学部・看護学部の3学部のみで構成されています。その分、大学全体として工学教育に力を入れているのではないかと思いました。この専門性の高い環境と、小規模だからこそ期待できる先生方の手厚いサポートが、卒業後の進路にも繋がっていると感じました。実際に就職実績を調べても、他の国公立大学と遜色ないことを知り、安心して自分の学びたい環境を選ぶことができました。

また、入試科目が柔軟だったこともポイントでした。私は推薦入試で入学しましたが、科目数が絞られていたため、対策に集中しやすかったです。また、前期一般入試(共通テスト利用)でも、理科は物理・化学・生物から得意な1科目を選べ、個別試験も数学と物理だけです。自分の得意分野で勝負できるのは、嬉しいポイントだと思います。

実際に入学してみて、大学の雰囲気はどうでしたか?

とても過ごしやすい環境です。先生方との距離が近く、研究で行き詰まった時や講義で分からなかった時も気軽に質問できます。学生一人ひとりに対して、しっかり向き合ってくれるので、学びやすい環境だと感じています。

就職活動の際も、キャリアセンターの方がエントリーシートを何度も丁寧に添削してくださるなど、サポートが非常に手厚かったです。おかげで、無事に第一志望の大手企業から内定をいただくことができました。

研究活動を通じて、どのようなことを学びましたか?

私が所属しているパワーエレクトロニクス研究室では、自分たちの手で半導体チップを一から試作します。そして、その性能を評価するために、実際に半導体メーカーの現場で使われているような本格的な測定装置を使います。このように充実した環境で、私たちは『世界でまだ誰もやっていない実験』に取り組んでいます。

そこで最も学んだことは、「失敗を恐れない心」です。研究とは、誰もやったことのないことに挑戦することなので、うまくいかないことの連続です。ですが、試行錯誤のプロセスを繰り返し、最後の成功を掴み取った時の達成感は格別です。社会に出て新しい技術を開発する場面でも、きっと同じだと思います。うまくいかない結果が続いても、その先にある「世界初」の結果を信じて試行錯誤を繰り返した経験は、最高の財産になります。

(写真)試作した半導体チップを測定している様子

将来はどのような技術者になりたいですか?

内定をいただいた大手半導体装置メーカーで、半導体製造装置を開発するエンジニアとして働く予定です。講義で学んだ回路やプログラミング、そして研究室で深めた半導体デバイスの知識を全て活かして、世の中にない新しい技術を生み出せるような技術者になりたいです。半導体は今すごくホットで、将来性のある分野です。その最前線で、社会の発展に貢献できることを楽しみにしています。

最後に、高校生へのメッセージをお願いします。

受験勉強は大変だと思いますが、その中でも「面白い」と感じる部分や、自分の「成長」という「ポジティブな側面」を見つけることが大切だと思います。ネガティブなことばかり考えると辛くなってしまいますからね。

富山県立大学の電気電子工学科は、本当に幅広く、奥深いことを学べる場所です。ぜひ、自分のポジティブな気持ちを大切にしながら、夢に向かって頑張ってください!

インタビューへのご協力、ありがとうございました!パワー半導体デバイスの研究に興味のある方は、パワーエレクトロニクス研究室ホームページをご覧ください。

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